お知らせ:

朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

番組へのお便りはこちら

 10月2日の「アサザイ 今日の1社」は富士ピー・エス(1848・東証1部)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 堤 忠彦 様にお越し頂き、事業内容・プレストレスト・コンクリート(PC)技術・成長戦略等について詳しくお話を伺いました。
 
 同社は、創業以来60年以上に亘り、PC(プレストレスト・コンクリート)技術を用いて生活に不可欠なインフラ建設を手掛け、全国に事業展開しています。

 主力の土木事業では、道路・鉄道などの橋梁を筆頭に容器構造物(PCタンク)、空港におけるPC舗装などの新設工事に加え、老朽化したコンクリート構造物の補修・補強工事等を行っております。
 建築事業では、自社開発製品や工法などを強みに、超高層マンションで需要が高い床材の設計・製造、学校や住宅の耐震補強に伴う設計・施工を展開しており、人びとの安全・安心な暮らしを支えております。

 井上哲男より取材後記が届いています。ぜひご覧ください。

----------------------------------------------------------------------------------
取材後記
富士ピー・エス(1848)(東証1部 福証)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録
お相手は、代表取締役社長の堤 忠彦(つつみ ただひこ)様

「プレストレスト・コンクリート(PC)技術」

▼プレストレスト・コンクリート(PC)技術とは  
 会社設立は今から65年前の1954年。戦後復興に寄与する目的で九州の財界37社が出資し、福岡県で産声を上げた。福岡証券取引所に上場されたのが1993年。その後、大証にも上場し、昨年、東証一部に市場替えとなった。

 同社については、「プレストレスト・コンクリート(PC)技術」という単語と、橋、橋梁に関する「土木事業」が語られるが、他に「建築事業」もされている。

 まずは「プレストレスト・コンクリート(PC)技術」であるが、コンクリートには、もともと、圧縮する力には強いが、引っ張られる力には弱いという特性があり、この弱点を補強すべく、鋼材を中に入れることによって、予めコンクリート部材に圧縮力がかかった状態(これをプレストレスと言う)を作り、引っ張られる力を制御することにより、ひび割れ等を防ぐことができるという特殊なコンクリート(技術)のことである。

 この技術を、橋梁やタンク、空港設備や高層マンション等の建築などに活かし、コンクリートによるモノづくりを支えてきた。
 PC専業社(プレストレスト・コンクリート建設業協会の会員)は現在20社弱で、ゼネコンを含めると同業者は30社超であるが、PC専業社において、同社は大手に区分され、上位のシェアを維持している。

 これは、同社が、1970年代より高速道路の新設床版敷設工事や床版取替工事等の経験が豊富で、また、工場で製作したプレキャスト部材を現場で組み立てる工法のパイオニアとも言える存在であるからだ。

▼設計から、工事、点検、維持補修まで一気通貫で事業展開
 ひとことで「橋」と括ってしまいがちだが、橋梁にはその構造形式によってさまざまな種類に分けられる。また、その設置場所も、海峡、河川、山間部の谷合を渡るもの、道路や鉄道が通っているもの、道路上の高架橋などさまざまである。
 これら一つひとつの現場状況、構造形式、規模などに応じて、設計から、新設の架設工事、点検、維持補修に至るまで、一気通貫でその事業を行っていることが「強み」と言えるが、同社自身が考える「強み」とは、「モノづくり」と「ソリューション力」、それに「(技術革新である)イノベーション力」の掛け合わせだと言う。

 例えば、「建築事業」においては、予め工場で製作された部材を現場で組み立てる「PCaPC工法」という工法で、これまで、マンションやオフィス、倉庫、学校など、さまざまな建築を行ってきた。この工法は、工事全体の品質向上、工期短縮、工事費縮減に寄与するが、これだけでなく、同社には特許技術を取得した製品が数多く存在する。マンション1階床をプレキャスト化した「DM板」などだ。

 同社の事業展開は、北海道を除く全国であり、現在、企業グループとして、全国で7つの本支店、18の営業所。6つの工場をネットワークで結び、全国へ供給が可能な体制を構築し、顧客のニーズに合わせたソリューションの提供を行っている。そして、上記の(特許技術を含んだ)製品へのニーズが高いことから、工場の稼働率は他社と比較しても高く、そして、あまり季節性のない平準化したものとなっているという。

▼イノベーション力の発揮と海外事業の強化で更なる成長を目指す
 今後の成長戦略における、成長マトリクスのキーワードは、「生活」、「災害」、そして「環境」。
 東京オリンピック・パラリンピック後に、橋梁新設需要は漸減することが予想されるが、顕在化している社会インフラや集合住宅の老朽化に対する補修や維持更新の需要の取り込みに力を入れるという。

 特に、「高速道路の床版取替工事」については、2016年から2030年までの15年間で約1.6兆円の事業計画が打ち出されているが、同社はこれまでの実績から、プレキャストPC版のパイオニアとして、積極的に受注しているという。整備新幹線、リニア中央新幹線などのプロジェクトへの対応も同じである。

 このような「イノベーション力」が発揮される新分野での事業に加えて、海外事業の強化も図るという。現在は、2014年に現地子会社を設立したミャンマーでの技術指導に始まり、その展開を拡げており、ミャンマーに加えて、台湾、ベトナム、キルギス、インドネシア、バングラデッシュなどで、すでに技術供与による施工実績がある。東南アジアを中心に海外展開を進めていく方針がここから分かる。

 また、株主還元についても、この2019年3月期の配当性向は30.0%となり、これからも財務体質の強化を図りながら、安定配当を実施していくという。また、株主優待も実施しており、保有株式数、保有年数により金額は異なるが、QUOカードを贈呈している。

 この業界(建設業)に共通する問題は「担い手不足」。同社はその対策として、ダイバーシティ(外国人エンジニア・女性技術者の積極的採用)の推進に加えて、現場・工場における機械化・自動化、省人・省力化など、生産性向上への取り組みを業界のなかでも早い時期から実施してきた。
 事業環境の変化、「圧縮する力」にも「引っ張られる力」にも対応できる企業力、それは、さながら「プレストレスト・コンクリート(PC)技術」のようである。
---------------------------------------------------------------------------------

 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

 それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
富士ピー・エス IRサイト
いつも聴く!ポッドキャスト


代表取締役社長 堤 忠彦さまと