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 9月18日の「アサザイ 今日の1社」は日本ホスピスホールディングス(7061、東証マザーズ)を放送しました。

 同社は、ホスピスという終末期における医療と生活の支援をするサービスを運営している企業です。今は主にガン末期と難病の方に特化してサービスを提供しています。

 ホスピス住宅・訪問看護・訪問介護をベースに、地域の状況に応じて居宅介護支援事業所によるケアプランニングやその他の在宅ケアを組み合わせたサービスを展開、「残された時間を豊かに艶やかに生きる支援をする」ための取組みを続けています。

 今回は、代表取締役社長 高橋 正 様にお越し頂き、沿革・事業を立ち上げた経緯・事業内容・強み・成長戦略等について詳しくお話を伺いました。

 井上哲男より取材後記が届いています。ぜひご覧ください。

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取材後記
日本ホスピスホールディングス(7061)(東証マザーズ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録
お相手は、代表取締役社長の高橋 正(たかはし ただし)様

「社会のミッションでもある」

▼終末期ケアのイノベーションと普及を目指す
 今年3月28日に上場された(社名が表わすように)末期の癌患者や難病患者向けにホスピス(緩和医療)サービスを提供する企業グループである。

 健康長寿を願い続けた日本において、医療は目覚ましい発展を遂げ、今や我が国は世界トップグループの長寿国となった。しかし、たとえ医療が発展しても「死」は克服できないものであり、厚生労働省の統計によると、年間死亡者数は2039年に約167万人(2017年は約134万人)に上ると推計されており、日本は、世界に先駆けて"多死社会"を迎えようとしている。

 同社グループが考えるこれからの「死」は、長寿の恵みを受けながら老いていく人生の先にある、自然に還るための終着点であり、決して闘う相手としての「死」ではない。
 そのため、同社グループのホスピスサービスは、そうした「自然な死」を見定め、残された時間を豊かに艶やかに生きる支援をするためのものである。

 起業の動機は、在宅ホスピスの研究と普及を通じて、その新しい価値を創造し、各々が希望する人生の仕上げが可能な社会の実現を目指したいということ。言い換えれば、終末期ケアのイノベーションと普及を目指すということだ。(同社グループのミッション)

 このミッションを掲げる同社グループの説明資料には、「おうち」という単語が並んでいる。
 「おうち(在宅)」での療養を支え、「おうち」で最期を迎える在宅療養におけるサポート・サービスにおいては、医療は生活を支える一部として"空気のように淀みなく必要な質と量"が提供されることが重要であり、一方でその際に大事なことは「療養される患者と家族の生活の質」である。
 「おうちが病院」というメッセージには「おうち」という自由とコミュニティの中の暮らしの場に、病院のような安心感を届けたいという思いが込められている。

 

▼「職業家族」としてのプロフェッショナルとしてサポート
 同社グループは、プロフェショナルとして、「質の高い選択肢を分かりやすく、幅広く示す」という形で関わり、このことを同社グループは「職業家族」(としての関わり)と呼んでいるが、お分かりであろうか、これは私が考えるに、「職業ではあるが『家族』である」ということ。家族と同じ覚悟でプロフェッショナルとしてサポートするという決意を込めた言葉だ。

 無論、意思決定の主体者は療養者本人であり、サポートする主体者は家族であるが、「職業家族」も一緒にサポートを行う。
 具体的には、在宅ホスピスを持続可能なシステムとするために、新しい在宅療養モデルを推進する「訪問看護ステーション」を中心とした在宅サービスに加え、その拠点機能を併せ持つバックベッドとして「ホスピス住宅」を組み合わせたモデルとなっている。

 と言うのは、「おうちが病院」の実現には在宅サービスだけでは限界があるのは明らかであり、療養者を支える家族も、サポートするスタッフにも物理的な限界、精神的な限界がある。バックベッドとしての「ホスピス住宅」は保険だと考えて欲しいとのこと。そして、この「ホスピス住宅」も「おうち」であり、「自宅」そのものなのである。無論、家族の出入りも住み込みも自由だ。

 そして、そこで行われるサポート(医療ケア)は、医療ライセンサーである「看護師」を中心とした多職種チーム(介護、食事を作るなど、それぞれ専門性の高いチーム)によって行われるため、「介護付き老人ホーム」などと比べても、手厚い緩和ケアサービスの提供が可能な体制が構築されている。


▼「自宅の快適さ」と「病院の安心感」の両方が実現可能な場所を目指す
 同社グループは12月決算。
 今年度の第2四半期(2019年6月末)時点でのホスピス住宅の室数は386室であるが、このうち63室が今年度に追加されたものであり、増室ペースがここにきて加速していることが分かる。(2施設を増室、1施設を新規に開設。現在のエリア別施設数は、愛知県で:6拠点、神奈川県:4拠点、東京都:3拠点の合計13拠点)また、既存のホスピス住宅の入居率はここ数年、平均して87%程度と非常に高い数字を維持している。
 今後の開設予定も、来年度は6施設、再来年2021年度は8施設と多く、エリアとしても関西地区の進出を考えており、来年、兵庫県神戸市に進出する予定だ。

 今後の成長戦略上、重要な2つの要素は、「(豊富な)施設展開余地」と「看護師の採用力」であるが、前者については、ホスピス住宅は比較的小規模な施設であるため、必要な土地面積も広くなく、また、駅近のような立地条件、建築投資額なども、一般的な老人ホームに比べて決して厳しくないため、その展開余地は全国にあると言える。

 後者の「看護師の採用力」について、何よりも大切なことは、看護師にとっての魅力的な労働環境の提供である。医療制度改革によって看護師の労働環境は変化しており、病院や自宅訪問の看護師の労働環境は実質的に厳しいものとなっていることは事実であるが、同グループの場合、一人ではなく、多くの看護師による「チーム体制」であるため、それぞれの能力を補完することで安心して働くことが可能となっており、これが看護師の採用における強みとなっており、全国で最多の看護師が在籍している。

 「自宅の快適さ」と「病院の安心感」の両方が実現可能な場所、「ホスピス住宅」。
 手厚い看護ケア体制と、医師・病院、ケアマネージャー、調剤薬局等と連携し、医療依存度の高い入居者の病態に対応できる看護体制を整え、同社グループは掲げているミッションを確実に果たしている。
 そして、それは、同社グループだけの「ミッション」ではなく、この国、社会が抱えている「ミッション」でもある。
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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

 それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
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代表取締役社長 高橋 正さまと