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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 8月8日の「アサザイ 今日の1社」はピックルスコーポレーション(2925・東証1部)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 宮本 雅弘 様にお越しいただき、事業内容、業界動向、強み、今後の成長戦略についてお話を伺いました。

 同社は、あさづけ・キムチ・惣菜の3つの事業を柱に、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、外食産業などに向け、野菜の鮮度にこだわった食品をお届けしている食品会社です。

 2017年11月には念願の東証1部への上場へ市場昇格、そして前期(2018年2月期)においても過去最高の業績を達成するなど、順調な成長を続けています。
 現在も業界のリーディングカンパニーとして、「野菜のおいしさから生まれる豊かな食文化」をお届けするべく様々な取り組みを進めています。今回は、そのような同社の成長戦略を詳しく語っていただきました。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。


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取材後記
ピックルスコーポレーション(2925)(東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は、代表取締役社長 の 宮本 雅弘(みやもと まさひろ)様。

「トップでいられる理由」

▼漬物業界のトップシェア企業
 漬物業界のトップ企業であり、唯一の上場企業でもある同社は、昨年11月、東証1部に市場昇格を果たした。

 最も有名なブランドは、「ご飯がススム キムチ」。スーパーなどで誰もが目にしたことのあるこの看板ブランドをはじめとした各種漬物や惣菜などの製品と、焼肉のタレやハンバーグのタレなどの調味料商品を製造・販売している食品会社である。

 漬物の市場動向は、少子化、高齢化、食生活の多様化などの要因により、市場規模はピーク時の5,500億円から、現在は3,200億円程度に減少しているという。

 また、業界の特徴としては、零細企業が非常に多いということが挙げられる。国内で、約800社がしのぎを削っている状態であるが、年商が100億円を超えるのは同社を含め4社しかなく、同社はトップもトップ、2位とは売上で倍ほどの開きがある。

 しかし、それでも市場における同社のシェアは約11.8%。この数値は、逆に、まだまだまだ伸びしろが十分にあることを示している。同社はこのシェアを早期に15%に引き上げたいと考えている。

 また、同じく同社の事業領域である惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は、現在約1兆円であるが、単身世帯増加・高齢化・女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズの高まりを反映して拡大傾向にある。

▼優れた販売体制と商品開発力
 同社の「強み」は、第一に、「メーカー+商社」であるということ。
 冒頭に書いた、「製品」、「商品」の区分は、浅漬、キムチ、惣菜など、同社が自社で製造するものが「製品」であり、この部分には「メーカー」としての強みが発揮されているのであるが、他方、地方特産であったり、独自の技術を持った他社が製造しているものを「商品」として全国のメーカーから仕入れたり、共同開発して販売する「商社」としての機能もトータルの事業活動において活かしているのだ。双方の機能を活かすことで、さまざまな得意先ニーズへの対応が可能となっている。

 この2つの機能を支えているのは、自社7工場、子会社9工場、関連会社4工場で製造するとともに、販売に関しても全国的なネットワークを既に構築しているということ。他社と売上の差がますます開いている背景には、他社にはないこのネットワークの存在がある。

 また、商品開発力が高く、そのことが評価されているということも「強み」だ。
 得意先であるスーパーやコンビニエンスストアのニーズに応えるために、種類、分量を変え、いくつも試作をつくる。時には、「ピックルスさんだから」と発酵食品やめずらしい野菜を使った新商品の開発を頼まれることもあるという。期待に応え、期待を超えた商品を届けるために日々行っている研究の成果が評価されているのである。これにより、取扱商品数は200点を超えている。非常にバラエティ豊かなことも強みとなっている。

▼シェア15%達成に向けた成長戦略
 今後の成長戦略の大きな流れは、「商品開発強化」、「販売エリア拡大」、「販売先拡大」、及び「新規事業による業容拡大」などである。

 このうち、「販売エリア拡大」の重点地域は、シェア拡大の余地が大きい関西以西。
 佐賀工場を起点に九州での事業拡大を進め、佐賀工場の稼働で生産余力のできた広島工場や子会社化した(株)手柄食品の供給力を活かして、関西地区、中国・四国地区を強化するという。上述の「シェア15%」の鍵はこの地域が握っている。

 また、「新規事業」においては、「ピーネオンラインショップ」(乳酸菌を活用した商品)と「八幡屋オンラインショップ」(本格漬物)の2つのECサイトをスタートしたが、この他にも、ピーネ12乳酸菌を活用した商品を製造する(株)ピーネコーポレーションを今年2月に設立した。

 これらの施策をすすめ、全社ベースの中期の売上・利益の目標として、2021年2期に売上高450億円、営業利益15億70百万円を掲げているが、これが達成された暁には、同社の2位との売上高の開きは、現在の2倍から3倍に拡大するのではないかと私は考えている。

 一時期、漬物製造業者の衛生管理が問題となったことがあったが、同社の製造工場は、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更には品質管理の国際規格ISO9001などの認証取得により、「食の安全確保」に向けた様々な取り組みを行っている。また、環境保全活動は、1999年に環境管理の国際規格ISO14001を取得しており、省エネ活動、廃棄物の削減等様々な取り組みを実施している。

 全国各地500にもおよぶ契約農家から、トレーサビリティの確保された新鮮な野菜を仕入れ、その国産野菜を中心として、保存料・合成着色料を使用せずに製品を作る。

 同社がトップ企業でいるその源の理由は、これらの「食の安心・安全」をきちんと遂行しているからである。トップ企業には必ずそのトップでいられる 「理由」がある。
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取材後記は以上です、いかがでしたか?

本日の放送はオンデマンド配信にて早速アップされております。是非お聞きください。

それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
ピックルスコーポレーション IRサイト
アサザイ(2018.8.8放送分)

代表取締役社長 宮本 雅弘さまと