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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 10月11日の「アサザイ 今日の1社」はソレイジア・ファーマ(4597・東証マザーズ)を放送しました。
 
 同社は、がん治療及び抗がん剤の副作用に対するサポーティブ・ケアに特化した医薬品及び医療機器の開発・販売を手がけるバイオベンチャー企業です。

 がん領域を戦略的疾患領域として位置づけ、日本及び中国を中心としてアジア諸国におけるアンメット・メディカルニーズに応え、優れた製品を患者さんの手元へいち早く届けることを目指した体制を展開しています。

 今回は、代表取締役社長 荒井 好裕 様にお越しいただき、会社の沿革から、ビジネスモデル、パイプラインと開発段階について等、事業内容について詳しくお話をうかがいました。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
ソレイジア・ファーマ (4597) (東証マザーズ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は、代表取締役社長の荒井 好裕(あらい よしひろ)様。

「希望の太陽」

▼ソレイジア・ファーマの始まり
 今年の3月に上場したが、沿革は2006年12月に伊藤忠商事と米国のバイオビジネスに特化したVCであるMPMキャピタルが共同で医薬品開発準備拠点としてJapanBridge Inc.を米国に設立したのが(会社としての)始まりで、現在の社名に商号変更を行ったのが2008年9月のこと。商号変更前に、既に第1号の開発品「SP-01」の中国、台湾、シンガポール、マレーシアでの独占的開発販売権を英国の会社より導入し、その後「SP-02」、「SP-03」の同じく独占的開発販売権を導入、また、中国に子会社を開設するなどの展開を図った状態での上場となった。

 新薬開発には、「基礎研究」から始まり、「製剤研究」、「非臨床開発」、「臨床開発」、そして、当局の承認を受けた後に、「製造」、「販売・マーケティング」というプロセスを辿る。大手製薬会社ともなると、その全てのプロセスを自社でカバーしようと試みることも多いが、それでも実用化に結びつく事例が少ないことが、創薬事業には常に大きなリスクが存在していることを表している。

 そのため、当社では、「基礎研究」から「非臨床開発」までのプロセスは自社では行わず、開発段階にある将来有望な医薬品を外部から導入して、「臨床開発」以降を行うことに特化して、その部分を事業領域としているが、上記の「製造」の部分についても固定費などのコストの観点から現在は保有しておらず、また、今後についても現在のところ保有する意思はないことを明言している。「大きなリスクが存在する創薬事業において、事業領域を絞り込む」という戦略である。

 但し、中国については、3大都市の「北京・上海・広州」で自販体制を構築している。この3大都市は、人口の比率は全体の5%であるが、中国全土の抗がん剤市場の約3割を占める、先進医療機関が集中するエリアであり、中国でもがんの発症者数、死亡者数が増加しており、大きな問題となっている。2020年には医薬品全体の市場規模で中国は米国に並び世界一になると目されており、この中国3大都市では自社販売体制を敷いているのだ。

▼がん治療において期待されている分野
 同社は会社説明資料に「バイオ・ベンチャー企業としての6つの特徴」を記しているが、上記の、事業領域の特化、中国での注力(自販体制の構築)以外の4点は、①:「実務経験豊富な開発スタッフ」:開発機能の中心は「臨床開発部門」のスタッフであり、候補品の導入と、臨床開発ステージ以降の医薬品創生プロセスに精通したプロにより、その部分にのみ特化しているということ、②:「開発成功率の高さ」:創業以来、3個の開発品を導入し、何れも事業化に至る最終段階にまでたどり着いているということ、③:「安定した事業基盤」:開発品3品全てにおいて、製薬企業への販売権導出を達成済みであるということ、④:「事業の早期実現」:パイプラインが何れも当局承認直前の"夜明け前"状態であるということ。( 「SP-03」はこの7月に厚生労働省より医療機器製造販売承認を得ている。)

 同社資料によると、現在、がん治療において期待されている分野は、「新規抗がん剤」と「がんサポーティブケア」であるという。「新規抗がん剤」とは、単剤治療よりも複数の抗がん剤を用いる併用療法の方が、高い治療効果が期待できるということであり、そのため、他の治療薬は決して、単なる"競合"とはならない。また、「がんサポーティブケア」とは、がん治療には強い副作用を伴うことがあり、これをコントロールするのが大変で、がん治療そのものが中断される場合がある。そのため、その副作用を管理、予防する薬が必要で、これはがんの種類を問わず、幅広い分野において処方が可能であるということ。

▼ソレイジア・ファーマのパイプライン
 同社の具体的なパイプラインを紹介すると、「SP-01」:がんの化学療法による悪心、嘔吐に対応。経皮吸収型、1回の貼付で5日間効果が継続する。(中国において承認申請済み)「SP-02」:新規化学療法剤(アポトーシス誘導):末梢性T細胞リンパ腫、その他の血液がん、固形がんなどが対象疾病で、日本、韓国、台湾、香港、米国などで第2相臨床ステージ(米国では第2相臨床試験完了)。「SP-03」:がんの化学療法や放射線療法による口内炎の疼痛軽減(医療機器):薬効成分を含まず医療機器の範疇に属し、副作用や抗がん剤との相互作用もない。

 同社は、「経営方針」の筆頭に、「当面、大手製薬会社が業績重視の観点から着手しないがん領域、稀少疾病領域での新規製品の導入開発を進め、未だ治療薬がないような患者さんへの貢献を果たす」と掲げている。社名の「ソレイジア」はラテン語で太陽を表す「ソル」と「アジア」を結びつけた造語で、「日本・アジアにおいてがんと向き合うさまざまな人たちの未来を照らす希望の太陽でありたい」という想いが込められている。「併用療法」と「(適用範囲の広い)サポーティブケア」は確かに「希望の太陽」となりうる。
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取材後記は以上です、いかがでしたか?

本日の放送はオンデマンド配信にて早速アップされております。是非お聞きください。

それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
ソレイジア・ファーマ IRサイト
アサザイ(2017.10.11放送分)

代表取締役社長 荒井 好裕さまと