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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 5月10日の「アサザイ 今日の1社」はデファクトスタンダード(3545、マザーズ)を放送しました。

 同社は、「ブランド売るなら『ブランディア』」のテレビコマーシャルでおなじみ、リユースブランドのファッション買取専門サイト「Brandear(ブランディア)」を運営しています。

 ファッションブランドのリユース市場のカテゴリー別の動向を見てみると、販売単価が1万円以上の「ハイブランド」、1千円から1万円未満の「セカンドブランド」、1千円未満の「カジュアルブランド」に区分されます。皆様がブランドとして真っ先に連想する、エルメス・シャネル等は「ハイブランド」にあたるわけですね。

 しかし、意外にも同社が振り切って経営資源を投下する部分は「セカンドブランド」です。
 なぜ「ハイブランド」ではなく「セカンドブランド」なのか? 今回は、代表取締役社長 尾嶋 崇遠(おじま たかとお)様にお越し頂き、その理由を大いに語って頂きました。

 今回は、井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
デファクトスタンダード (3545) (東証マザーズ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の尾嶋 崇遠(おじま たかとお)様。

「本当の強み」

▼デファクトスタンダードの本当に強み
 「ブランド売るなら『 ブランディア 』」と盛んにテレビコマーシャルが流れており、同社の買取サービス会社としての知名度は大きく上昇したが、ひとつ懸念しているのは、同社が高価なブランドの買取のみを行っている会社であると勘違いされていないか、ということである。同社の本当の強みはそこではない。

 同社の設立は2004年。2007年より宅配買取サービスを開始し、インターネット専業の買取サービス会社としての地位を固め、昨年8月にマザーズに上場した。

 「リユース市場」の国内市場規模は2014年の統計で約1.6兆円であるが、2030年には2.1兆円と、2兆円を超える市場に成長することが見込まれている。商品別の動向では、書籍やゲーム・メディアなどはスマホの普及により成長は鈍化しているが、ブランド品・衣料・服飾品は伸びている。そういえば、この頃、中古のゲームソフト店を余り見かけない。
 
 このブランド品・衣料・服飾品の伸びであるが、2014年単年の金額増率は10%と、市場全体の7%を上回っており、市場を牽引していることが分かる。

 ただし、ファッションブランドのリユース市場のカテゴリー別の動向を見てみると、販売単価が1万円以上の「ハイブランド」はチャイナショックを経て新興国市場の需要が減速した影響もあり、縮小傾向にあるが、1千円から1万円未満の同社が「セカンドブランド」と呼んでいるカテゴリーは好調で、この部分が現在の当社の強みの源泉にもなっている。そして、現在、着実に、1千円未満の「カジュアルブランド」の領域でも事業を拡大させているのである。

▼「ハイブランド」と「セカンドブランド」の買取事業で必要なスキル
 買取事業を行う際に、この、「ハイブランド」と「セカンドブランド」では必要とされるスキル、リソースに違いがある。

 「ハイブランド」の場合、求められる必要なスキルとは、やはり 「真雁」に尽きる。単品の利益率は高いが、店舗を構えるのが主流であり、売る相手と直接対峙する"見極める能力のある人"の確保なども必要である。しかし、「セカンドブランド」は、この「真雁」に加えて、粗利益単価が低額なため、正確な価格のデータベースと大規模なオペレーション能力がなければ対応できない領域となっている。「テキパキと、正確に」である。

 この部分について、独自の業務オペレーションによる業務効率化を推進し、リユース品として取引相場が確立されているとはいえない「セカンドブランド」を扱える業社としての地位を確立し、その取扱いブランド数を飛躍的に拡大させたことが、同社の何よりの強みである。この"テキパキ"のために同社なんとアルバイトスタッフさんを約900名確保することにより、査定のシステム化に成功し、「大規模オペレーション」を可能なものとしているのだ。この「セカンドブランド」で培ったノウハウ、システムが、さらに「セカンドブランド」よりも価格帯の低い「カジュアルブランド」領域で活かされることは言うまでもない。

▼「買取」から「販売」までの流れ
 実際の「買取」から「販売」までの流れを説明すると、まず「買取」については、ネットで申し込んでもらった方に宅配キットをお送りし、それに商品を入れてもらえば電話一本で集荷に行き、その後、査定結果を通知するというシステムとなっており、「査定」、「送料」だけでなく、「キャンセル」までも完全無料となっている。このシステムは、自社型買取の「ブランディア」だけでなく、他社のサイトを通じた「提携型買取」でも同じである。そして、「同時出品システム」で、自社販売(オークション)サイト、提携先(オークション)サイトで販売されることになる。

 ひと昔前までは考えられなかったことであるが、現在、アパレルメーカーも同社事業とのアライアンスに"熱い"視線を送っている。実際、昨年12月に同社はマークスタイラー社と提携したが、このような形でアライアンスを結ぶということは、私が考えるに、(デファクトスタンダードにとって)「取扱いブランドの拡充」 → (メーカーにとって)ブランドのバリューを高めるとともに、→(ブランド購入者にとっても)、セカンド販路パスの確保という、それぞれのメリットがあるのだ。

 今回の取材で分かったことがある。それは「買取」と「販売」は、そのユーザー層が異なるということである。あるブランドを数枚(数個)「買取」に出した金額で、そのブランドの新品を購入するというサイクルがあるということである。これは、アパレルメーカーにとって、「新製品等の売上拡大」という大きな期待に結びつくのである。

 ここまでのビジネスモデルを確立するのには苦労があったと思う。また、900名のアルバイトスタッフさんの確保というのは非常に大きな"賭け"であったとも思う。しかし、私が同社を称えたい部分は、まさしくこの部分なのである。

 地球環境、多様化する個人消費ニーズといったテーマに有効な答えを与える「リユース市場」。そこにインターネットを結びつけることまでは思いつく企業が多いであろう。しかし、その効率化にヒトが寄与し、そして、そのことが結果的に粗利益単価の小さい「セカンドブランド」の市場を拡大させてきたことの意義は大きい。

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取材後記は以上です、いかがでしたか?

また、今回は後日ロングインタビューもアップされます。
「仕掛け」についてや同社がセカンドブランド領域で活躍できる理由、さらに買取にかかわる裏話など、大いに語って頂きました。
是非お聞きください。


それでは来週もお楽しみに!

(ウェブサイト)
デファクトスタンダード IRサイト
アサザイ(2017.5.10放送分) ゲスト企業:デファクトスタンダード


代表取締役社長 尾嶋 崇遠さまと