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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 316日の「アサザイ 今日の1社」は、伊藤忠エネクス(8133、東証1部)を放送しました。

 今回、取締役 (兼) 常務執行役員CFOの田中 雅康 様にお越しいただき、同社を支える事業内容、強み、中期経営計画などについて、詳しくお話しをうかがいました。

 人々の暮らしと産業社会の成長基盤として欠かせないエネルギー。
 同社は現在、4つの事業を核に、あらゆるエネルギーを供給してゆく「総合エネルギー提案型企業」としての挑戦を続けています。

 その中で、"攻めの事業"として取り組んでいる事業の一つが「電力・ユーティリティ事業」です。2016年4月より「電力の小売り全面自由化」という大きな変革が始まる電気事業においても、同社は独自の強みを生かした取り組みを進めております。

 井上哲男の取材後記でも、同社の電力自由化への取組みについて大いに語っています。ぜひご覧ください。

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取材後記

伊藤忠エネクス (8133) (東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は取締役 (兼) 常務執行役員 CFO の 田中 雅康 ( たなか・まさやす )様。

「 『攻める!』 変革への強い意志 」

▼伊藤忠エネクスを支える4つの事業
 株式投資を長年続けられている方には「伊藤忠燃料」という社名の方がピンと来るかもしれない。上場して既に38年の歴史を持つ。現在の事業セグメントは、①ホームライフ事業、②カーライフ事業、③電力・ユーティリティ事業、④エネルギートレード事業の4つ。

 ①ホームライフ事業をひとことで言えば、「家庭にLPガスから多彩なスマートエネルギーまでを届け、快適で安心なエネルギーのあるライフスタイルを提案する事業」。
 全国100万世帯の家庭や法人企業にLPガスと都市ガスを届けるとともに、キッチンやお風呂のリフォーム事業や生活関連商品・サービスをご提供する。また太陽光発電システムや家庭用燃料電池「エネファーム」を筆頭とした多彩なスマートエネルギー機器、さらに非常用電源としても利用可能な家庭用リチウムイオン蓄電システム「エネパワボS」などを届けている。全社売上に占める比率はおよそ8%であるが、営業利益ベースでは22%を占めている。

 ②カーライフ事業は、「すべてのカーライフニーズに応えるCS(カーライフステーション)と、人と車が快適にくらせる社会を実現することを目的とした事業」。
 エネルギー商社として国内No.1規模の約2,100ヵ所の系列CSにガソリンや灯油、オイルなどを販売し、車に関わる総合的なサービスをご提供することで販売店の収益向上やお客様にとっても利便性や魅力度が向上するCSづくりを進めている。
 また、中古車レンタカー事業「イツモレンタカー」の運営も行い、2014年5月には日産大阪販売株式会社を傘下に持つ大阪カーライフグループをグループ会社に迎えて、自動車ディーラー事業に本格参入した。全社売上に占める比率はおよそ47%と高く、営業利益ベースでも35%を占めるセグメントである。

 ③電力・ユーティリティ事業は、同社が注目分野として強力に推進、展開を進めている事業で、"省エネルギーと快適性、経済性を追求し、電力関連事業・熱供給事業を推進することを目的"としている。
 電力小売事業については2010年にスタートし、その後、電熱供給事業を行う会社を2社グループに迎え、着実にその事業を拡大している。 "総合エネルギー提案型企業"である強みを活かし、電力料金削減と電力の安定供給への取組みを展開しており、これに伴い、発電事業への取組みも強化している。
 具体的な例を挙げると、「熱供給関連事業」として、区域内の複数の建物に冷水や温水を届ける熱供給事業や、ビルの空調や給湯の新設・更新時に、初期投資を抑えて省CO2、省エネルギーを実現する熱源受託サービス等を展開している。このセグメントの全社に占める売上比率はおよそ3%であるが、営業利益ベースで23%も占める利益率の高いセグメントでもある。

 ④エネルギートレード事業は、「産業用エネルギーから資材、さらには船舶用燃料まで産業や流通の基盤を支える最適なエネルギーソリューションを提案する事業」であり、産業の基盤を支えるエネルギーのエキスパートとして、最適なエネルギーソリューションを提案し、石油製品・LPガス・天然ガスといった産業用燃料や、国内の交通インフラを支えるアスファルトなどの産業用資材を販売している。また、国内外の主要港での船舶燃料販売やディーゼル車が排出する窒素酸化物を無害化する高品位尿素水も取扱っている。全社ベースに占める売上の比率は高く、およそ43%を占め、営業利益ベースでも20%を占めている。

▼伊藤忠エネクスの強み
 同社の強みは、①これまでの歴史の中で築き上げてきた、全国の販売店との緊密なネットワーク、②伊藤忠ブランドを活かしたグループとしての経営資源・堅固な財務基盤、③既存事業での勝ち残り、新規事業での成功に向けた経営陣の変革への強い意志であると考えられる。


▼電力自由化への取組み
 この最後の部分は、中期経営計画の中にも盛り込まれているが、やはり、新規事業の目玉となるのが、事業セグメント③「電力・ユーティリティ事業」における、電力・ガス事業の全面自由化への取組みであろう。
 同社はこの部分において、"守る側"ではなく、紛れも無く"攻める側"である。同社の電力事業は、自社で電源を持ち、発電から需給・販売までを一貫した事業として取り扱っていることが何よりの強みである。その発電能力は182MW(メガワット)。即ち約32万世帯(電力小売事業で提携する王子グループからの調達を含めると約50万世帯)の1年分に相当する能力であり、その約3割が風力・水力等の再生可能エネルギーで構成されている。また火力発電においても、発電の際に発生する電気と蒸気の両方を活用する高効率なコジェネレーション運転を行っており、総合熱効率を高め、無駄に排出されるCO2を削減することで環境負荷を低減している。

 電力の自由化において、企業が社会に与えられるものは、単に価格の優位性だけではないと思う。無論、経済性は大切なことではあるが、地域性に配慮したバランスの良い電源を構成し、省エネルギーと優れた環境性を提供することがその目的でなくてはならない。なぜならば、「自由化」は、快適な社会の実現を目指すという大前提があって始まったことなのであるから。その意味でも、同社に期待する。

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 取材後記は以上です、いかがでしたでしょうか。 

 電力の自由化、石油需要の減少、低燃料車の普及など、変化してゆく経済環境の中、「強い意志を持って新たな事業に取り組む姿勢が当社の強みです。新しいエネルギー企業になるべくがんばりたい」、と語った同社の力強い言葉が印象的でした。今後の展開に注目してゆきたいと思います。
 
 
それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
伊藤忠エネクス IRサイト

取締役 (兼) 常務執行役員CFOの田中 雅康さまと