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 10月14日の「今日の1社」はコスモエネルギーホールディングス(5021、東証1部)を放送しました。

 

 「風力発電事業」に取り組んでいたのか!?と新しい発見したリスナーも多いのではないでしょうか。

 

 「国内の石油市場はエコカーの普及などで国内需要が頭打ちの状況」という指摘あるかもしれません。
ただ、「石油からエネルギーの会社に変わった」と井上哲男も話していたとおり、同社は事業環境の変化に合わせて、着実に成長し続けていらっしゃるのを感じますね。

 

 同社からカーリースしたエコカーを、風力発電のエネルギーで乗り回す日も近いかもしれませんね。

 

 今回、井上哲男より取材後記が届いておりますので、どうぞお楽しみ下さい。

 

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取材後記

コスモエネルギーホールディングス (5021) (東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手はコーポレートコミュニケーション部長 高木勢伊子様 ( たかぎ せいこ )様。

 

「 勝ち残る指針 」

 ▼ホールディング・カンパニー制度移行の背景

 「 証券コード5007、コスモ石油 」の方が馴染みのあるリスナーの方も多いかと思うが、同社はこの10月1日に持ち株会社に移行し、コードも変更となった。

大協石油、丸善石油、旧コスモ石油の3社が合併してコスモ石油が設立されたのが1986年4月のこと。ちょうど私が社会人になったときであったが、合併30年を前に、ホールディング・カンパニー制度へと移行したことになる。

 

 コスモ石油といえば、「ココロも満タンに・・・」のキャッチコピーで知られているとおり、ガソリンスタンド(サービス・ステーション)における販売事業が中心事業であったことは確かである。これまでの事業セグメントは、この販売事業や千葉・四日市・堺の3つの製油所での精製事業などの「石油事業」、新興国で需要が伸びているポリエステル繊維やペットボトルの原料であるパラキシレン、ミックスキシレンの製造に携わる「石油化学事業」、半世紀近く前から中東のアラブ首長国連邦のアブダビ首長国、カタール国において、原油の自主開発・生産に取り組んできた「石油開発事業」に区分されてきたが、これを、石油開発、石油精製、石油販売という事業に区分したうえで3つの中核会社を持ち株会社にぶら下げる形にして、それぞれの会社のアライアンス(他社との協業などの事業提携)について柔軟に対応できる体制を作った。

 

 同社が持ち株会社に移行した理由を、高木さんは「『持続的な成長による企業価値の拡大を目指す』というのがありていな言い方であるが、背景を含めて話すと、現在、石油業界はさまざまな事業環境の変化にさらされている。原油価格や為替の変動、(日本の)人口減少や省エネの進展による(ガソリンも含む)国内石油製品需要の減少もあり、このような"変化"に対応しつつ持続的な成長をとげ、企業価値の最大化を図る」とした。そして、その目的達成のための手段として、経営資源を再配分し、「石油開発事業」、「リテール販売事業」、「風力発電事業」の3つを成長事業として掲げるとした。

 つまり、鍵は、子会社の名称うんぬんではなく、この3事業なのであり、そのトップとして掲げられているのが「石油開発事業」なのである。

 
▼石油開発事業を支えてきたもの

 この「石油開発事業」であるが、同社はアブダビ(首長)国と強固な関係をUAE建国前から結んでいる。ここで、ひとつ注釈を加えると、UAE(アラブ首長国連邦)は7つの首長国からなる連邦国であるが、正直、アブダビとドバイだけ知っていればよい。この2つの首長国のうち、原油生産力を誇るアブダビの力は絶大であり、UAE財政の8割を負担している。一方で、原油埋蔵量の小さいドバイは早くから、中継港の整備と金融都市化を進めたことがUAEの発展に寄与した。UAEに政情不安はないと言われる。選挙も行われるようになったが、投票者2000名は首長の指名であり、また、両首長国のおかげで社会福祉が充実しており、国民の不満が非常に小さいため、「中東の春」とは無縁の国なのである。

 

 教育、環境などの分野で人的・技術的交流を行ってきた同社に対するアブダビの信頼は厚く、2012年に30年間の利権更新を同社に対して行っている。また、同国は新鉱区ヘイルを同社に与えた。来年からこの新鉱区でも生産が開始される予定である。同社とアブダビの強固な関係は、同社の筆頭株主がアブダビのソブリン・ウエルス・ファンド(政府系運用機関:IPIC)であることからも分かる。このIPICを通じた他国の石油会社とのアライアンスやシナジーの効果が同社の石油開発事業における大きな"宝"である。

 
▼個人向けカーリース事業の発展

 また、「リテール販売事業」においては、全国のサービスステーションでの販売事業だけではなく、車保有意欲の低下に伴い、顧客ニーズにマッチした「個人向けカーリース事業」を立上げ、約3年で累計2万台超と、個人カーリース事業では国内2位のシェアにまで成長させた。国内カーライフ市場という限られたパイのなかで、ガソリン、LPガス販売以外の部分に着目したこと、そしてその果実を生んだことは見事である。

 
▼風力発電事業に吹く"追い風"

 最後の「風力発電事業」は、2010年に事業買収を行い、既存サイトのメンテナンスを強化したことにより1年で黒字化を果たし、また、2012年にFIT(電力の固定価格買取制度)の導入という、それこそ"追い風"も吹き、収益体質は大幅に改善している。この事業における国内シェアは6%程度(第4位)であり、更なる拡大を目指している。経済産業省の長期エネルギー見通しによると2030年の風力発電電力量は昨年2014年度の約3倍を見込んでおり、これも大きな"追い風"だ。

 
▼勝ち残るために必要な指針

 「日本にはスーパーメジャーがない」と高木さんは言った。文中で紹介した、石油会社を巡る環境の下、各社が生き残りをかけた戦いを行っている。国内での他社とのアライアンスについても説明があったが、これらの効率化と非自家用車向けビジネスの創出、新たなるエネルギー事業への進出。そして、何よりも大切な海外における、"いろいろな意味での安定国"との強固な関係の維持。コスモエネルギーホールディングスの取り組みは、勝ち残るための指針のひとつを確かに示していると感じる。(了)

 

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 取材後記は以上です。いかがでしたか?

 

 コスモエネルギーホールディングスの未来を担う3事業の成長に、ぜひ注目していきたいですね。

 さらにロングインタビューで、国内でのアライアンス強化についてお話頂いております。こちらも合わせてお楽しみ下さい。

 

 それでは、また来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

コスモエネルギーホールディングス IRサイト

コーポレートコミュニケーション部長 高木勢伊子様と
コーポレートコミュニケーション部長 高木さま