8月26日の「今日の1社」は、伊藤忠商事(8001、東証1部)を放送しました!
リスナーの皆さまは、ファミリーマートも同社グループだとご存じでしたか?
総合商社のビジネス、世界規模で分野が多岐に渡る為、自分の生活とは別次元のように感じていました。
同社の事業も「繊維から地下資源まで」、多岐に渡ります。ただ、その中でも生活消費関連分野が収益の半分以上を占めており、私たちの身近に存在しています。
「エビアン」を飲みながら、これを読んでいる方。それも同社が手掛けている事業の一部ですよ。
今回、井上哲男から取材後記が届きましたので、ご覧下さい。
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取材後記
伊藤忠商事 (8001) (東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手はIR室長 中島 聡(なかじま・さとし)様。
「 すぐ傍にいる商社 」
▼DNAと存在価値
資源価格が下落する際にネガティブな反応を示すのが商社株。昨年度、資源関連で大きな特損を発生させた商社が存在したこと、実際にその価格が大手商社の収益を左右する傾向が強いことは事実であるが、伊藤忠商事はそうではない。
6つのセグメント(「繊維」、「食糧」、「住生活・情報」、「金属」、「エネルギー・化学品」、「機械」)のうち、資源分野に相当するのは「金属」、「エネルギー・化学品」の2分野であるが、他の4分野の収益が、全社ベースの収益の2012年度は7割、2013年度は8割、そして昨年度は全てを占めている。
「生活・消費に根ざした分野に、まずは着目する」というのが、今から157年前の1858年(安政5年)に、初代伊藤忠兵衛が麻布(あさぬの)の行商で創業したときからのDNAである。11万人以上の従業員を雇用し、世界65ヶ国に約130の拠点を構え、340を超える連結対象会社をかかえる大商社となった今でも、それは変わらない。
そして、無論、「チャレンジをする。リスクを取る」という商社の大きな存在価値も忘れてはいない。
1998年。資産バブルが弾けて日本が苦しんでいるときに、1350億円を投じてファミリーマートに資本を入れた際に"賛否両論"見方は2つにはっきりと分かれた。そして、結果的に、商社がコンビニに資本・業務に参加することがどのくらい双方の収益力を高める効果があるかを示してみせたのである。
「ファミリーマート」だけではない。フルーツ・ブランドの「Dole」、ジーンズの「エドウィン」、ミネラル・ウォーターの「エビアン」、女性用カバンの「レスポートサック」、婦人服の「レリアン」、靴の「コンバース」、ブランド・バックの「ハンティング・ワールド」、伊藤忠商事が手掛ける事業は、いずれも、消費者の"すぐ傍"にいるのである。
▼13億人の生活・消費に関連した事業
その伊藤忠がタイ最大の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループと組み、1兆円の出資を中国最大の国有複合企業CITIC(中国中信集団)に出資を行うことが発表された。同社の出資分は6000億円にものぼる。
狙いは、やはり13億人の生活・消費に関連した事業である。決して、資源関連ではない。また、中国で事業を行うには、何よりも現地で組むパートナーの質が大切だということも認識しており、上海の経済特区で唯一事業許可を持つ上海市政府系企業と手を組んでいる。
「生活・消費に根ざした分野に、まずは着目する」、「チャレンジをする。リスクを取る」。このスピリットは今回の中国でのビジネスでも貫かれているのである。
▼挑戦
同社は今期から2017年度までの中期3ヶ年計画「「Brand-new Deal 2017」『挑戦』」を発表した。具体的な計数目標として、最終期の純利益4000億円を掲げるとともに、財務体質の具体的な強化の手法を示し、株主(投資家)に対するメッセージとして、ROE13%以上を目指すことや、具体的な配当性向、配当の算出根拠も示した。とても明解で明確なメッセージであると私は考えている。番組でも述べたが、商社を追っていくために、大手社の短信を見る場合、必ず同社と他の大手社との比較を、前文の部分だけでもして欲しいと思う。(了)
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取材後記は以上です。いかがでしたか?
商社のビジネスは、時代や環境とともに変化し続けていくでしょう。その中で変わらぬDNAをもって挑戦していく同社から、今後も目が離せませんね。
(関連ウェブ)
■伊藤忠 IRサイト
IR室長 中島さま(中)、ご担当者さま(右)と