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 4月8日の「今日の1社」は鳥貴族(3193、JQS)を放送しました。

 

 社名を見れば一目瞭然ですので、もはや説明は不要なのではないでしょうか。

 そうです。あの焼鳥屋の「鳥貴族」です。同社は、この「鳥貴族」の単一ブランドで、三大都市圏に焼鳥屋を展開されています。

 

 今回、代表取締役社長の大倉忠司さまのお話を伺って、同社はただのチェーンの焼鳥屋ではない、と感じました。

 調理の前にお店で一本ずつ串打ちされているということ。お客様に少しでもおいしいものを届けたいという「焼鳥屋」の真心が感じられます。今度、お店に行った時は、その真心に感謝しながら味わってみたいと思います。

 

今回、井上哲男から熱い取材後記が届いております。

 

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取材後記

鳥貴族 (3193)(東証ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の大倉 忠司(おおくら ただし)さま。

 

「 高邁な"うぬぼれ" 」

 
▼「焼鳥屋」のプライド

 鳥貴族は社長が焼鳥屋を始めたことに起源がある。「なぜ、そんなことをわざわざ言うのか?」と疑問に思うかもしれないが、これには大きな意味がある。街中でチェーン展開している焼鳥専門店を目にすると思うが、この殆どは焼鳥屋がチェーン展開したものではなく、外食産業や飲料会社が多業態展開のひとつとして焼鳥専門店を営んでいるものである。鳥貴族の「焼鳥屋」としてのプライドがこれらの店とは一線を画しているのは、その起源が違うからである。

 
▼三つの「永遠」

 鳥貴族には三つの「永遠」がある。そして、この企業を理解するには、これらを理解することが何よりも肝要である。

 

 一つ目の「永遠」は「鳥貴族のうぬぼれ」である。これは、永遠の経営理念を「たかが、焼鳥屋で世の中を変えたい」としていることだ。私は、この"たかが"という部分を単に自虐的に使っているのではないと思う。個人で焼鳥屋を始めた創業者だから言える"重い言葉"だ。

 心を込めて串をうち、心をこめて焼いた焼鳥とまごころを込めた笑顔が、お客様の「おいしかったよ」のひとことに繋がり、焼鳥屋はそれに対して「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることができる。この心と心のふれあい、このサイクルで世の中を明るくしたいという想いだ。

 

 もう、100社をゆうに超える後記におつきあい頂いているリスナーの方はお分かりであろう。この経営理念だけで、私が思いきりコミットしたくなる企業である。

 

 二つ目の「永遠」は、外食産業の社会的地位を向上させるという「永遠の使命」である。今、世界で、日本の外食産業のサービス(おもてなし)が手本とされつつある。特に東南アジアではアメージングなサービスとして注目されているが、このことを同社は「外食産業は日本が世界に向けて発信できる代表的な産業の一つ」と認識している。但し、問題も提起している。「それなのに、国内の外食産業は優秀な人材の確保が遅れている」ということである。そのため、労働環境の整備、コンプライアンスの徹底、社会貢献への積極的な取り組みなどにより、外食産業全体の底上げを行い、社会的地位の向上に取り組むことを「永遠の使命」としているのである。

 

 三つ目の「永遠」は、「永遠の目的」として「永遠の会社」であることを挙げている。企業活動は、社会や従業員、その家族も含めた大きな関わりの中で存在している。それらの幸せのためには、会社が永続することが大前提であり、そのために必要なことは、「挑戦し続けること」なのだということである。

 もうお分かりであろう。これら三つの「永遠」は、経営理念であるとともに、社長が自らに永遠に課した十字架なのである。

 
▼「永遠」を支える「同志」

 鳥貴族の店舗数は、この2月末時点で388を数えるが、内訳は直営店舗が210で、残りの178は、この想いに賛同した数社の同志(カムレード)が運営するお店なのである。ここに「フランチャイズ」という言葉を使うのは、適切ではない気がする。

 この一蓮托生の絆を築くことができたのは、創業当初からブレない信念があったからであろう。鶏肉は国産しか使用しない。必ず、各店舗で串をうつ。リーズナブルな均一価格で客単価は決して高くはないが、その条件下でも商品、接客、内装にこだわり、高付加価値なサービスを提供し続ける。

 このことが、一過性の経済、景気のトレンドに左右されない強い店舗運営につながり、2012年に焼鳥専門店としてトップの売上げとなった後、現在の市場規模約2,000億円に占めるシェアは12%程度にまで拡大したのである。

 
▼新たな挑戦

 現在、鳥貴族は新たな挑戦を続けている。それは「地産池消」ならぬ「国産国消」を掲げて、昨年より鶏肉以外の食材の国産比率を上昇させる取り組みを始めたことである。新鮮で、より安心・安全な食材を提供し、且つ、飲食産業として日本の一次産業、生産者を支援したいという想いの実現である。

 

 中長期の経営目標も、3商圏での店舗数、売上高の目標、それから全国での店舗数の拡大と、具体的な数字を掲げている。海外進出はその後という。私は社長にこの海外進出について、具体的な進出国名も挙げて「早期にうって出る気はないか」と水を向けたが、社長の意思は固そうだ。

 そして、それでよいと思う。ちゃんと地道に確実に事業を進めていくことの大切さが体に染み込んでいる社長なのだ。国内でまだまだ取り組むことがあり、それを成し遂げることに全力を尽くす人なのである。

 

 昨年7月に上場した同社は、この5月基準から弊社の経営指標ランキングのユニバースに入る。外食産業でどの位置に飛び込んでくるのか、今から楽しみだ。そして、また、「アサザイ」に出て、「うぬぼれ」を聞かせて欲しい。とにかく、またすぐにでも会いたくなる魅力的な社長であったことを最後に記す。

 ――「カムレード」。素晴らしい言葉だ。(了)

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取材後記は以上です。いかがでしたか?

普通だとフランチャイズというところを、「同志」という結びつきの強い意味がある言葉を採用される。アサザイ担当の私は、そこに社長の「されど焼鳥」の思いを感じました。

 

長期的には国内2,000店舗、さらに海外進出も目指していらっしゃいます。皆さんの家の近くにも「鳥貴族」ができるかもしれません。今後の展開にも注目したいですね。

 

それでは来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

鳥貴族 IRサイト

焼き鳥なら『鳥貴族』


代表取締役社長の大倉忠司さま
代表取締役の大倉忠司さまと