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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 今年最後の「アサザイ 今日の1社」は日本システム技術(4323、東証2部)をお送りしました。

 スタジオには代表取締役社長 平林武昭様にお越し頂き、お話をお伺いしました。

 

 ソフトウェア開発はあらゆる分野に進出し、目覚ましい発展をしてきました。私たちの生活はどんどん豊かで便利になってきています。

 便利で当たり前の生活を支えているのは、「人」の力であることは言うまでもありません。そんなことを改めて考えさせられた、今回の放送でした。

 

 井上哲男より取材後記が届いておりますので、ご覧下さい。

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取材後記

日本システム技術(4323)(東証2部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の平林武昭さま。

 

「天爵を修めて人爵これに従う」

 
▼4つのセグメントの"奥行き"

 創業が1973年で41年の歴史を持つ独立系のソフトウェア会社であるが、「ソフトウェア」のひとことで済ませられない"奥行き"が同社にはある。

 事業セグメントは、「ソフトウェア事業」、「パッケージ事業」、「システム販売事業」、「医療ビッグデータ事業」の4つであり、それぞれの売上高構成比率は、「ソフトウェア事業」が約7割、「パッケージ事業」が約2割、「システム販売事業」が15%で、「医療ビッグデータ事業」が2%程度となっているが、同社の「ソフトウェア事業」とは企業が個別に抱える問題について、ソフトウェアをオリジナルに開発して提供するという、一般的に「システムインテグレーション」と呼ばれる事業である。この分野で30年以上継続して取引のある企業は5社もあり、何れも日本を代表する大企業である。

 

 しかし、同社はこの5社を含む最大顧客8社の総売上高に占める割合が、07年3月期に67%であったものを、この3月期には38%にまで下げることに成功した。無論、この8社売上が減少したわけではなく、他の企業向け売上が増加したことをこの数字は物語っている。これに伴い、「ソフトウェア事業」が占める売上高比率も全体の8割から前述のように7割に低下したのである。

 

 このことは、残りの事業セグメントである、「パッケージ事業」、「システム販売事業」、「医療ビッグデータ事業」が順調に拡大していることを表している。

 
▼大きな可能性のある事業

 「パッケージ事業」における学校業務改革パッケージ「GAKUEN」は、日本の350近い学校(およそ、その三分の二が大学)に導入されており、ダントツのトップシェアである。3年前から準備を進めてきた中国におけるこのパッケージの販売も、上海に販売チャネルを確保したことから今後の展開が期待される。また、同じく「パッケージ事業」に分類される金融機関の情報系パッケージである「BankNeo」も一昨年12月に初めて信用金庫に導入されてから多くの地方銀行、信用金庫などに導入されており、こちらも順調だ。

 

 また、現在は売上高構成比率が2%の「医療ビッグデータ事業」は、国内で唯一の総合医療データ"分析"サービスである。平たく言うと、健康診断のレセプトなどから、このままでは将来どのような病気になる可能性があるなどの分析が行われる"分析系"を備えたクラウド・サービスであり、既に60団体に導入されている。私見ではあるが、今後、健康保険組合に必要とされる義務(レセプトの整備など)が拡大されることからこの分野も非常に期待がもてる。

 
▼"企業は人"

 業績は堅実そのもの。41年の歴史の中で、経常赤字となったのが1992年の1度だけで、他は全て経常黒字の経営を行ってきた。リーマン・ショック後のソフトウェア業界が赤字となった時期に黒字経営を守った貴重な1社である。

 

 しかし、この会社を「会社の全ての基本は『経営理念』である」と言い切る平林社長の生きざまを抜かして語ることは出来ない。ロング・インタビューは必聴である。外見や、語られる言葉の力強さから、とても76歳には見えない若々しい社長の財産は、IHI(石川島播磨)時代に故・土光敏夫社長に出会ったことと、当時はまだ珍しかった電子計算機に出会ったことである。土光社長がその後、大阪万博に移り、工事が完成しないかもしれないと聞くと平林社長は石川島播磨を辞めて、土光会長のもとへ馳せ参じたという。

 

 「天爵を修めて人爵これに従う」。これが経営理念である。「人爵」の意味は「業績などの評価により、上司などの"人"が与えた外見的な地位」であるが、「天爵」は「人として普段に道義をわきまえて人格・品性・徳を高めること」である。

 「天爵を修めるべく日々の生活を送ること」。それは、まさしく、経団連の会長時代、出張は全て日帰り、接待を禁止、エレベーターも1基のみ稼動、と倹約を徹底した土光会長のDNAである。「財界が質素にならなくて、政治家が質素になるわけがない」と言い放った"メザシの土光さん"。人を育てることの難しさを痛感し、スバリと一言を与えることでそれを行った土光会長から平林社長が受け継いだDNAが、この経営理念に表れている。

 そして、それは受け継がれる。企業は人である。ソフトウェアを作る何倍も人を育てることは大変である。久しぶりに「土光さん、やろう」を読みたくなった。名著である。そして、忘れてはならないのが、この本が、それから日本がバブル期に入っていく寸前の1982年に出されたことだ。どんな時代にもあてはまる言葉、どんな時代であれ財界人が読まなくてはならない示唆が溢れている。(了)


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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 年末年始休暇を9連休お取りになる方がおおいのではないでしょうか。アサザイ担当の私も9連休になりますので、今年の冬休みは、自分を高めることをしないといけないかな、と思いました。

 

 尚、同社は「はじめに理念ありき」を経営理念とされており、ロングインタビューではその経営理念についてもお話し頂いております。後日、オンデマンド配信されますので、お楽しみ下さい。

 

 今年の「アサザイ」は以上でございます!

 2015年は1月7日から放送いたします。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

(関連ウェブ)

日本システム技術 IRサイト

代表取締役社長 平林武昭様と
代表取締役社長 平林武昭様と