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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 「ダウンサイジング」「ウェアラブル」という言葉を聞いて、まっさきに思いついたのは携帯電話のことでした。

 登場したときは、まるでショルダーバックのような見た目だったものが、掌に収まるまでに小さくなり、今ではスマートフォンに持ち替えたという方も多いでしょうね。今後は、腕時計型やメガネ型など、もっと小型化していくのでしょうね。

 

 携帯電話に限らず、コンパクトになっていく製品には、半導体をはじめとしたメーカー企業の汗と涙、そして技術力の結晶が詰まっているのですよね。

 11月26日放送の「アサザイ 今日の1社」では、そんな結晶を持っているうちの1社、トレックス・セミコンダクター(6616、東証JQSをご紹介しました。代表取締役社長の藤阪様にお越し頂き、同社がどのように「世界最小半導体メーカー」となり得たのかを知ることができました。

 

 今回、井上哲男から取材後記が届いておりますので、お楽しみ下さい。

 

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取材後記

トレックス・セミコンダクター (6616)(東証ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の藤阪知之さま。

 

「世界最小・省電力」

▼ソリューション提供能力と省電力 

 半導体集積回路のことをICと呼ぶが、トレックス・セミコンダクターは電源ICの専門メーカーであり、正確に言うと、アナログ半導体に特化した電源ICメーカーである。

 電源を必要とする製品全てに必要なものが電源ICである。そして、現在複雑化した製品のなかで電源ICに求められる機能はますます高まっている。

 例えば、PC。その中のメモリー、CPU、オーディオ部分など、それぞれの部分が適正に稼動するための最も効率的な省電力を与えるという機能が電源ICに求められている。この部分については、回路設計という技術力がモノを言うことから、民生電機メーカーも同社のような専門会社の意見に頼っているのが現状である。この回路設計力によるソリューション提供能力と、それに応える省電力電源ICを持っていることが同社の第1の強みである。

 
▼小ささの追求

 第2の強みは、「世界最小電源IC」を提供できるということである。番組の中で、ソニーのウォークマンが電池1本(1.5ボルト)で音楽をウェアラブルにした際に求められた電源ICの機能に応えたところから同社の歴史が始まっていると述べられたが、この求められた"小ささ"をより追求していった結果、他社との差別化に成功したことが何よりも強みである。

 半導体メーカーが重点を置く対象製品は、現在、民生機器から車載、産業機器へと明らかに移行している。同社の場合は、これに"小ささのエッジ"を活かし、ウェアラブル製品もその対象となるのである。

 
▼アナログ半導体の成長性

 番組の中でも紹介したが、「アナログ」を「デジタル」に劣後すると誤解することなかれ、である。メーカー自身もアナログ電源ICを変更する意思はなく、音も光の家電も全て、入り口は安定的にこれまで機能してきたアナログ電源ICに任せる時代はこれからも続くのである。

 そして、米国の半導体メーカーの利益率の高さはアナログ半導体の売上構成比率が握っているという現状がある。利益率の高さ、そして、デジタル半導体を上回る市場成長性を足もとで示している。

 納品先トップ5を合計しても売上全体の10%に満たないという、"結果的に"リスク分散が図られた売上構成が、さらに広がる可能性がある。今月、ドイツのミュンヘンで、2年に一度開催される世界最大の電子部品展覧会である「electoronica(エレクトロニカ)」が行われ、DC/DCコンバータとコイルが一体化した世界最小・省電力コンバータ"XCL"が注目を浴び、世界中のメーカーがブースに押しかけ、なんと、450件もの商談引き合いが来たという。

 市場でウェアラブルがテーマとなるときに同社の商いが増加する理由がお分かり頂けたと思う。

 

 米国で生まれた電源ICであるが、その世界最小が日本のメーカーであることを誇らしく思う。スマホの中の電子部品、メッキに一体どのくらい日本のメーカー製品が使われていることか。やはり、日本の電子部品は素晴らしい。(了)

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 取材後記は以上です。いかがでしたでしょうか。

 

 「アナログ人間」なアサザイ担当の私、ご指摘通り「アナログ」と「デジタル」を勘違いしていました。新しく頭の電源を入れられた気持ちです。

 

 写真は、先日ドイツで行われた世界最大の電子部品展覧会で注目を集めたという同社製品「世界最小・省電力コンバータ"XCL"」です。
同社製品

 














 後日、ロングインタビューもアップされますので、そちらもぜひお楽しみ下さい!

 

 それでは来週もよろしくお願いします!

 

(関連ウェブサイト)

IRサイト

 

代表取締役社長の藤阪さまと。お手元には「世界最小・省電力コンバータ"XCL"」。
代表取締役社長 藤阪さま