お知らせ:

朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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100円ショップって、私たちの生活にすっかり定着しましたよね~。
 私事で恐縮ですが昨年、贈答品できれいな絵皿をいただきまして、まあ素敵と喜んだはいいものの。
 「はて、絵皿を立てるスタンドってどこで売っていたかしら?」
 ・・・何はともあれ最寄の100円ショップに行ってみたところ、無事絵皿立てを100円で買うことができました。

 欲しいものが何でも安く手に入る、100円ショップ。2月5日放送の「アサザイ 今日の1社」にご出演いただいたのは、100円ショップ「ミーツ」「シルク」などを展開する、ワッツ(2735・東証二部)です! 2012年9月5日以来、2回目のご出演となりました。
 井上哲男インタビューに答えていただいたのは、代表取締役社長の平岡史生様です。 また今回も井上哲男取材後記が届きましたので、どうぞお読みください♪

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取材後記

ワッツ(2735)(東証2部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の平岡史生様

 

「ワッツ・セレクト」「イノウエ・セレクト」

 
▼比較で見るワッツの優位

 昨年、週刊現代の「識者が選ぶ日本の社長3人」という企画で私がその1人として挙げたのが平岡社長。「アサザイ」には1年半ぶり2回目のご出演となる。前回ご出演頂いた際の取材後記で、100円ショップの上場3社(ワッツ(2735)、セリア(2782)、キャンドゥ(2698))の業績が、相対的な比較において他の小売業によりも好調であったこと、そして、3社の中でも同社の利益の伸び、ROEの高さが際立っていることからバリュエーション上の割安感を述べた。その後、平岡社長がIRにおいて同業との比較を話されることがあるとお聞きしたが、自社の反省点をどちらかというと先行して話してしまう性格から察するに、自社の優越を話しているとはとても思えない。それは、今回の収録において昨年の売り出しのお詫びをされて、私が否定したくだりでも分かろう。

 

 今回は小売業全体、東証33業種分類から金融4業種を除いた29業種とワッツの比較を述べる。番組の中でも紹介したが、リーマン・ショック前のいざなみ景気の"山"の最後の年度である2007年3月期と今年度である2014年3月期(見込み含む)の29業種、小売業、ワッツの売上高と経常利益を比較すると、2007年3月期を100とした今年度数字は、29業種が98.8:92.7、小売業が119.8:122.1、ワッツが218.6:341.3(何れも、売上高:経常利益)となる。29業種全体では、まだ売上高も経常利益も前回の"山"に達していないが、小売は両方ともおよそ2割程度増加したことが分かる。リーマン・ショックを挟み、GDP統計や家計調査から判断される一国のマクロベースで見た厳しい消費環境下でも、上場小売業はその努力により毎年3.15%程度の成長を遂げたことをこの数字は示しているのだが、ワッツの数字は売上が毎年14%、経常利益が毎年23%程度伸びたことを表しており、その数字が際立っていることが分かる。そして、この傾向はリーマン・ショックを経て、景気が最悪期を脱した2010年3月期から計測してみても同じことが言えるのである。

 

 この業績を築くことが出来た大きな理由は、出退店及び運営に関する徹底的なローコスト運営である。新規出店を積極的に行うとともに期間を定めて利益の低迷した店を閉める。ローコストであるがゆえにこの小回りが効くという特徴は、結果的に(出店数-退店数)である店舗の純増数がそのまま売上高の伸びに繋がるという図式となっている。前年度に上期の出店見込みが下期にズレ込んだ反省を活かし、今期は年間の純増目標60店舗に対して、第1四半期でその半分の30という純増店舗数を達成した。この出店費用により利益は減少したが、新規店以外の売上を示す既存店売上が昨年12月まで5ヶ月連続でプラスとなっており、今年度、同社は好調なスタートをきったと私は判断している。

 
▼集客のエンジン、「ワッツ・セレクト」

 集客のエンジンは現在200ほどある「ワッツ・セレクト」という"小さなシール"の貼られた商品。これらは、他の100円ショップでも同じようなものが売られている、いわば"100円ショップの定番的な商品"に多い印象を持つが、使用してみると、質の良さ、量の多さに顧客が驚き、「あれっ、ここの100円ショップはいい」と気がつく集客効果の高い商品である。

 

 我が家の台所にも千葉県市川市の「シルク」で買った商品がたくさんある。その中で、私の一番のお気に入りは"土鍋"である。結婚以来、私以外誰も食べないので一度も作ったことのなかった「牡蠣(かき)鍋」を楽しむことが出来るのはこの一人用土鍋のおかげである。また、昆布で出汁を取り、キャベツでも白菜でもネギでも、緑色の野菜ならなんでもいいから入れた鍋を、擦りゴマをたくさん入れたポン酢で食べるのも大好きであるが、汁まで緑色になることから、家族はそれを「緑鍋(みどりなべ)」と恐れ、食べることはない。土鍋には、他の食器と違い、強い愛着を感じるものである。ましてや、私専用の土鍋となれば尚更である。(ロングインタビューで社長が語っているが)タイで同社が展開している均一ショップ「こものや」で、即席ラーメンを食べる用途でこの土鍋がとても売れているという。タイでも今頃この土鍋で、一人でラーメンを食べている人がいるんだろうな、と思いながら、私は自分で作った鍋をつつく。

 
▼あらためて、バリュエーション

 最後にバリュエーション。昨日時点での同社のPERは9.29倍で小売業347社中50番目に低い。この小売業347社から、今期赤字見込み34社、PERが100倍以上の11社を除くという厳しい条件を付して残った302社のPERを算出してみると、時価総額加重ベースでそれは25.06倍となり、ワッツの割安度が分かる。因みに同社のPBRは1.42倍であるが、債務超過2社を除いた小売業345社の時価総額加重ベースのPBRは2.75倍である。番組でも触れたROEは「アサザイ・セミナー」で配布したROE3年平均ランキングで全社中、堂々の159位。

 おまけで、需給的なカタリストを述べると、同社は昨年の売り出しによる個人投資家の増加により、さらにもう一つ上の市場に行く要件をクリアしている。無論、このことについて私は何も聞いていないし、あくまでもその条件をクリアしたという事実しか述べる気はないことを断りとして入れさせて頂く。

 NISAが始まった。私は個人投資家がその口座を使って株式を購入する場合、やはりバリュエーションと業績を良く精査して中長期保有という目的を持って投資にあたって欲しいと思う。そして私はNISAの対象として、ワッツに"とてつもなく大きな「イノウエ・セレクト」というシール"を貼りたい。(了)

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 取材後記は、以上です。「イノウエ・セレクト」宣言出ました♪
 ワッツの100円ショップに入ると、限られたスペースの中にもたいへん多くの商品が並んでいるさまに圧倒されます。その中でもキラリと光るお値打ち品、「ワッツ・セレクト」。それは資本市場の中でのワッツそのものなのかもしれませんね~。

 ワッツの店舗は全国各地にありますので、お近くの店舗がありましたら、一度覗いてみると楽しいと思います。

(関連リンク集)
■ワッツ IR情報
■ワッツ 店舗検索
■ワッツ 2012年9月5日出演の取材後記

代表取締役社長の平岡史生様と。写真奥中央が取締役経営企画室長 森秀人様です。
代表取締役社長の平岡史生様と。