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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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情報・通信というと、新しい分野というイメージが強いかと思います。ただ、世界初とされるパーソナルコンピュータ「Altair8800」が登場したのが、1974年。コンピュータが個人の手に渡るようになってから数えても、もう40年が経過しているのです。この時の流れのなかで、情報・通信分野がめざましい発達をとげてきたことは、あらためて申し上げるまでもないでしょう。

 今回、1月22日放送の「アサザイ 今日の1社」にご出演いただいたジャステック(9717・東証一部)が設立されたのは、1971年。ソフトウェア業界において長い歴史を有し、その発展とともに歩んできた企業です♪

 常に新しい技術、より安定した技術が求められる同業界にあって、それだけの年月を積み重ねてくることができたのは、なぜでしょうか? 同社代表取締役社長の中谷昇様に井上哲男がインタビューしましたので、取材後記をどうぞお読みくださいっ!


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取材後記

ジャステック(9717)(東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の中谷昇様。

 

「揺るぎない『CMMI5』の輝き」

 

▼老舗にして、王道
 設立が1971年、上場が1989年。老舗(しにせ)中の老舗である。番組の中でも紹介したが、総務省の産業分類で「受託開発ソフトウェア業」に所属する上場160社中、上場時期は9番目に早い。

 「ソフトウェア業のモデル企業を目指して設立した。世界のソフトウェア業における成功例となることを目指している」という主旨の言葉があったが、まさしくこれは同社の今までとこれからを示している。

 

 「ソフトウェア業のモデル企業」とは設立当時の、「ソフトウェアは企業が人を派遣という形で受け入れる形で作りあげ、全てがその企業内で完結し、帰属する」という風潮を壊すことにあったと思う。それまで会社として培い、獲得したリソースであるソフトウェア開発能力を一括請負という形で顧客に提供することで、深く、長い信頼関係を築き上げるというビジネスモデルは、独立系としては同社が初めて作り上げたものと言っても過言ではない。

 無論、独立系ゆえにその道のりは決して平坦なものではなかったと思われる。しかし、ジャステックが採った手段は極めて王道で、そしてそれ以外の道のないものであった。突き詰めて言うと、"他社を圧倒する、極めて高度なスキルを提供する"ということである。

 
▼世界で5社、「CMMI」全社レベルで最高位

 それは見事に認められた。米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所(SEI)が考案した、ソフトウェアの開発工程の管理能力を1から5で評価するCMMIという基準で、全社レベルで最高位の「5」を獲得したのである。因みに全社レベルで「5」を獲得している企業は、世界中で同社を含めて5社だけであり、分野別というカテゴリー単位でみてもこの「5」を獲得している企業は世界に117社(全社レベル「5」の5社を含まない)しかない。この極めて獲得困難な称号を手に入れていることだけでも同社の開発に対する真摯な姿勢が分かると思う。

 

 昨年11月期に売上高が4期ぶりに100億円を超えた。期中に上方修正を行い、着地はそれをさらに上回った形であり、経常利益・最終利益も同じくその道を辿った。リーマンショックにより、大きな痛手を情報通信業、とりわけソフトウェア業は負ったが、他社に先駆けて、同社の完全復活に向けての視界は大きく開けたといえる。

 番組の中でも私は"顧客数"という水を向けたが、私がジャステックの強さと考えているのは、積極的な営業により顧客数の増加を追い求めるのではなく、おそらく大企業、または、社会インフラを支えていると考えられる企業と、深い信頼関係を長年に亘り培ってきたその事実である。不具合が起きた時に、社会的に大きな問題を引き起こしかねないソフトウェアの開発を求める際に、同社の「CMMI5」の輝きは増す。その輝きは「信頼」であると同時に、同社にとっては「間違えてはいけないという責任」を意味する。

 
▼「決算補足資料」から見える方向性
 同社が「CMMI5」を獲得できた理由をIR活動の一環として公開している「決算補足資料」から窺うことができる。私は収録の際に聞いて驚いたのであるが、他社に作成を依頼しているのではなく、ここまでのものを自社で作っているのである。投資家の必要な情報に加えて、全て開示できる材料は示すという姿勢がきちんと伝わる資料で、同社の真摯さがここからも分かる。実は水を向けた質問は、同社のこの資料の中にちゃんと書かれているのだ。

 

 その中に、海外での事業展開についての記載もきちんとされている。冒頭の言葉の「世界のソフトウェア業における成功例となることを目指している」という部分に社長が込めたであろう思いは、日本のソフトウェア業界の夢でもある。これまで、ソフトウェアは圧倒的に海外メーカーの強さが目立った。やっと、「コンソーシアム形式」により優れたソフトウェアを海外に売り込みをかけようという動きが始まったところである。そのような中、同社はソフトウェアの開発受託という形で海外進出を早くから果たしてきた。たとえ足許の海外での業績が大きく収益に結びついていない状態でもきちんと開示し、方向性を示している。その心意気や良しである。日本の切り込み隊長として同社を応援したい気持ちを私は強く持つ。

 日本で築いた顧客との関係を世界で作り上げる。その目標に向かって邁進して欲しい。『CMMI5』の輝きは世界でさらに光を増す。(了)

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 取材後記は、以上です。
 ジャステックが積み上げた強みが、伝わってきたように思います。
 中谷社長はもともと海外畑でもいらっしゃいますし、今後の海外での事業展開も注目したいところですね~。

 取材後記中でも取り上げられている「決算補足資料」は、同社のIRサイトに掲載されていますので、本記事末尾のリンクからご参照ください。「今日の1社」の放送と取材後記の内容を踏まえてお読みいただくと、一層ご理解が進むかと思います。


 それではまた、来週もお楽しみに!

<オンデマンドもお聴きください>
■放送版オンデマンド・・・実際に放送された音声をお聴きいただけます。
■ロング・インタビュー・・・放送では収まりきらなかったインタビューを収録しています。

(関連リンク集)
■ジャステック IR情報
■ジャステック 平成25年11月期 決算期末に関する補足資料

代表取締役社長 中谷昇様と。
代表取締役社長の中谷昇様と。